esp32でドローン用モータを回すための,MOSFETトランジスタの選定

Electronics

esp32とL293Dを使って,ドローン用のモータを回してみましたが.電気出力が足りず回転量が物足りないという問題がありました.

そこで,MOSFETトランジスタ・抵抗・ダイオードを使って自分でモータドライバのような回路を組んでいこうと思います.

MOSFETトランジスタの選定基準がわからなかったので,この記事でまとめていきます.

トランジスタ選定の際のポイント

このサイトが非常に参考になりました.

はじめてのMOSFET | テクニカルスクエア | 丸文株式会社
今回の記事はMOSFET製品をはじめて使う、ご検討いただくお客様を対象として、MOSFETについて、使用している場所、データシートでのスペックについて説明しております。

秋月さんのデータシートで絶対最大定格と電気的特性を確認することができます.

出典:http://akizukidenshi.com/download/ds/toshiba/2SK4017.pdf

前提

  • Arduinoでモータを動かしている他のサイトを参考にすると,大体NchのMOSFETを使用しているので,当サイトでもNchのMOSFETを使うこととします.
  • 電圧増幅には一般的に,ソース接地回路が使われるとのことなので,ソース接地回路を組むことを前提とします.

電圧許容値

  • VDS : ドレイン・ソース間に印加可能な最大電圧
  • VGS : ゲート・ソース間に印加可能な最大電圧

VDSは今回1.2 Vのエボルタ x 4で,4.8 Vの電圧を印加することを想定しているので,最低でも6 Vはほしいです.

VGSにはPWM信号を印加するので,0 〜 3.3 Vの電圧を印加することになります.最低でも4 V以上のものを選びます.

電流許容値

  • ID : ドレインに連続的に流せる電流の最大値
  • IDM(パルスドレイン電流):ドレインに瞬間的に流せる電流の最大値

2SK703でモータをMAXで回転させたところ,940 mAの電流を消費していました.また,今回使うモータではないのですが,スペアで買った以下のモータだと,2 Aの電流を消費するようです.(今回使うモータは,詳しいスペック表がついていなくて定格がわかりませんでしたToT)

GOOD FPV

とりあえず余裕を持って,IDは3 A,IDMは8 A以上のものを選ぶこととします.

許容損失

PD(許容損失):MOSFET自身が許容する最大電力

今回は,電流は最大でも3 A程度,電圧は最大でも6 V程度と仮定し,3 x 6 = 18 W以上のものを選びます.

ゲート・ソース間しきい値

VGS(th)(ゲート・ソース間 しきい値電圧):MOSFETのON/OFFのしきい値の電圧

この電圧に到達しないと,MOSFETがONになってくれない電圧なので,これは重要ですね.ゲート・ソース間にはesp32のPWM信号を印加する予定なので,ゲート・ソース間電圧は 0〜3.3 Vの間で変化します.このことを考えると,しきい値は1.0 〜2.0 Vの間くらいが理想です.

ドレイン・ソース間オン抵抗

RDS(ON)(ドレイン・ソース間オン抵抗):ドレイン・ソース間のオン状態の内部抵抗値

これは,効率等の損失に大きくかかわるファクターだそうです.これも重要ですね.可能な限り小さいものを選びたいと思います.

というのも,L293Dは電力損失が大きかったことが,モータの回転量を小さくしていた原因だと考えているからです.

Bipolar bridge drivers like the L293D, L298, etc have extremely high losses. They are long out of date and a poor choice compared to modern FET chips even for surface vehicles, let alone something that needs a good power to weight ratio for flight.

Actual quadcopters use MOSFET drivers, typically discrete ones carefully selected for a low RDSon at a low enough threshold voltage to fully turn on when driven by an MCU output

Can I use L293D driver as ESC for arduino controlled quadcopter

注意として,この抵抗値は温度による変化が大きいみたいです.

電荷量

電荷量のパラメータに関しては,知識不足であまりどのように選定すればいいかわかりませんでした…パラメータには以下があるみたいです.

  • Qg(トータル・ゲート・チャージ量)
  • Qgs(ゲート・ソース・チャージ量)
  • Qgd(ゲート・ドレインチャージ容量)

Qgに関しては,値が小さいほうがMOSFETのON/OFF時の切り替えロスが少なくなり,高速スイッチングが可能になるそうです.(と,言われても初心者の私にはあんまりピンときません☆)

必要なスペックと実際に選定したMOSFETトランジスタ

パラメータ許容値2SK7032SK40172SK2796L
VDS6 V以上100 V60 V60 V
VGS4 V以上20 V20 V20 V
ID3 A以上5 A5 A5 A
IDM8 A以上20 A20 A20 A
PD18 W以上35 W20 W20 W
VGS(th)1.0 V 〜 2.0 Vmin: 1V
max : 2.5 V
min: 1.3 V
max: 2.5 V
min: 1.0 V
max: 2.0 V
RDS(ON)なるべく小さいtyp: 0.20 Ω
max: 0.50 Ω
typ: 0.09 Ω
max: 0.15 Ω
typ: 0.16 Ω
max: 0.25 Ω

要求仕様にピタリと収まっているのは,2SK2796Lだけですね.2SK4017は一番RDS(ON)が小さいので挙動が期待できます.

2SK703は端子間幅が2.54 mmなのでブレッドボードに直で刺せますが,2SK4017と2SK2796Lに関しては端子間幅が約2.3 mmとなっているのが若干気になります.

参考にしたデータシート

NchパワーMOSFET 100V5A 2SK703: 半導体 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
電子部品,通販,販売,半導体,IC,LED,マイコン,電子工作NchパワーMOSFET 100V5A 2SK703秋月電子通商 電子部品通信販売
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NchパワーMOSFET 60V5A 2SK2796L: 半導体 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
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