タイトルにもあるとおり、自作ドローンの設計データを公開します!
これまでもソフトウェアのソースコードは公開していたのですが、今回ハードウェアの設計データも公開することにしました。
設計データを販売しようか無料公開にしようか悩んでいたのですが、 booth で無料公開枠と投げ銭用の有料ダウンロード枠(500円〜)両方を設けることにしました。無料版と有料版で特に中身が変わるわけではないですが、有料ダウンロードで投げ銭していただけたら今後の制作活動の励みになるのでうれしいです!
※KiCad も FreeCAD も商用利用が認められています。(念の為)
別途購入しなくちゃいけない部品が多いのと、フライトパフォーマンスがまだちょっと微妙なので恐縮ですが、この記事の設計データを使えばドローンを作れるはずです。
ドローンの設計に関していろいろな記事を書いてきましたが、これらを一つに記事にまとめた記事を作ったので合わせてご覧いただければと思います!
データ公開
ソフトウェア
以下の github からプロジェクトごとクローンしていただければ、ソフトウェア一式ダウンロードできます。
ハードウェア
無料版と有料版を用意しています。冒頭にも書いたとおり無料版でも有料版でも特に中身は変わらないですが、有料版で投げ銭していただけると今後の活動の励みになるのでうれしいです。次のドローン開発(もしくは別のなにかの開発)に充当します。以下 booth のリンクをチェックしてみてください。
データの中身について
ソフトウェア
この記事で書いているような設計になっております。(結構改変している箇所もあるので参考程度に…。)
機構
FreeCAD ベースで設計されています。body_3dprint ディレクトリに以下のファイルが入っています。
- drone_body.FCStd
- drone_body.stl
- subparts.FCStd
- subparts.stl
- wide_bracket_ver/drone_body_wide_braket.FCStd
- wide_bracket_ver/drone_body_wide_bracket.stl
drone_body ではじまるファイルが機体フレームに関するデータで、subparts ではじまるファイルがモーターブラケットに関するデータです(一応プロペラガードもついてます)。
DMM.makeに発注する場合は、この記事を参考にして .stl ファイルをそのまま送ればよいです。3D プリンタで自作する場合は、.stl ファイルから G コードを作成する必要があるかと思います。
精度があまり高くない 3D プリンタでプリントすると、モータが入らないかもしれないので、wide_bracket_ver のようにモータブラケットを広げた stl ファイルをプリントすると良いと思います。(こちらは僕は 3D プリントして試していないので、もしかしたら設計不備があるかもしれません…。)
電気回路
KiCad ベースで設計されています。フライトコントローラ設計の記事と送信機設計の記事を参照すると、発注に必要なデータや設計思想等がわかると思います。
電気回路関連のデータは circuit ディレクトリに入っています。
以下のプロジェクト(それぞれフライトコントローラと送信機)を開けば KiCad で設計データを修正できます。
- flightcontroller/flightcontroller.pro
- transmitter/transmitter.pro
pcbgogo などに発注する際には、以下のディレクトリを zip 化して送れば良いと思います。
- flightcontroller/pcbdata_flightcontroller
- transmitter/pcbdata_transmitter
別途購入が必要な部品リスト
以下は、基板や機体を組み上げる際に別途購入が必要な部品のリストです。
フライトコントローラ
詳細はこの記事参照。
部品名 | 数 | 用途 | 金額 |
esp32 開発ボード | 1 | ドローン制御・送信機との通信 | 1,899円 |
タクトスイッチ | 1 | 動作テスト用ボタン | 25円 |
スライドスイッチ | 1 | 緊急停止用スイッチ | 25円 |
5V 昇圧コンバータ | 1 | esp32 に供給する電圧の安定化 | 300円 |
BMX055 | 1 | 姿勢計測用 IMU | 1,280円 |
L字ピンヘッダ1 | 1 | リポバッテリ用 | 10円 |
ICソケット | 4 | IMU・昇圧コンバータと基板をつなぐ | 2,547円 |
コネクタ | 4 | モータ用 | 880円 |
計:6,966円
送信機
詳細はこの記事参照。
部品名 | 数 | 用途 | 金額 |
esp32開発ボード | 1 | フライトコントローラとの通信用 | 1,899円 |
タクトスイッチ | 2 | 予備のボタン | 2 x 25 = 50円 |
スライドスイッチ | 1 | 電源用スイッチ | 25円 |
ジョイスティック | 2 | ドローン制御用(タクトスイッチ付) | 2 x 190 = 380円 |
2ピン オスコネクタ | 1 | 電池ボックス用 | 5円 |
10kΩ抵抗 | 2 | プルアップ抵抗 | 100円 |
計:2,459円
機体
部品名 | 数 | 用途 | 金額 |
ネジ・ナット | 12 | モータブラケットと機体を固定する | 1,781円 |
ネジ・スペーサー | 12 | 機体と基板を固定する・機体の足 | 1,499円 |
8 x 20 mm モータ | 4 | – | 1,612円 |
プロペラ(大) | 4 | – | 1,190円 |
プロペラ(小) | 4 | – | 899円 |
計:6,381円
充電関係
詳細はこの記事参照。
計:6,599円
総額
上記すべて合わせると、22,405円になります。amazon で手軽に買える部品を買ってしまったので、厳選すればもっと安くできると思います。あと、購入したけれど全部は使っていないもの(IC ソケットなど)もあるので、実際にはもう少し安いです。
まとめ記事の方でも書きましたが、上記と合わせて 3D プリント発注代や基板発注代がかかり、総額は50,134円となりました。
ソフトウェアのセットアップ
手順
セットアップ手順は以下です。
- arduino のインストール(公式サイト)
- 書き込み環境の構築(私は vscode を使いました。詳細記事はコチラ)
- フライトコントローラ用の esp32 に esp32/ble_mac_check.ino を書き込み、Serial Monitor を開いて MAC アドレスを調べる。(詳細記事「BLE通信を使った無線Lチカ」参照)
- 送信機用の esp32 に transmitter のソースコードを書き込む。
- フライトコントローラ用の esp32 に main のソースコードを書き込む。
あとは、配線や組み立てをして飛ばしましょう(説明雑ですいません)。IMU の使い方の記事やモータの取り付け向きに関する記事を参照されると良いかと思います。注意するところは、IMU のはんだ付けとモータ・プロペラ取り付け方向くらいな気がします。
トラブルシューティング
最近セットアップした PC(DELL xps13 + ubuntu 20.04)で上記手順を試してみて、いくつか詰まった点があったのでここで共有しておきます。
exec: "python": executable file not found in $PATH
というエラーが発生する。下記で解決(参考記事)sudo apt install python-is-python3
ImportError: No module named serial
というエラーが発生する。以下コマンドにより、pyserial をインストールする。sudo pip3 install pyserial
- madgwick filter のライブラリを arduino でインストールする。
- 書き込み時は、esp32 がつながっている USB ポートにrw権限を付与する。
sudo chmod 666 /dev/ttyUSB0
(ttyUSB0 に USB がつながっている場合)- このサイトに従うと、USB ポート接続時にrw権限の自動付与ができるようになる。
- esp32 のバージョンが、最新の 1.06 だと以下の不具合が発生するため、1.04 をインストールする必要がある。
- コンパイル時に warning が発生する。(
warning: initialization from incompatible pointer type
) - 焼き込めてもなぜか正常動作しない。
- コンパイル時に warning が発生する。(
設計データのカスタマイズ
本記事で公開した設計データをもとに設計変更を加える場合は、KiCad や FreeCAD のインストールが必要になると思います。ubuntu であれば下記に従って比較的簡単にインストールできます。
モータが入りやすいようにブラケットのスペースを広くしたり、機体を軽量化したり、堅牢にしたりと、いろいろ試せると思います!
免責事項
PCB や 3D プリントの発注や実験を行う際は、自己責任でお願いいたします。発注した基板やフレームに不備があったり、ドローンの飛行実験をしている際に万が一怪我をされたりしても、私としては責任を負いかねますので、ご了承ください。
本ウェブサイトの記事は、私が電子工作初心者ながら自分への備忘録としてまとめてきた記事です。私はハードウェアに関しての専門性を有しておらず、熱・過電流・ノイズ等に対する対策や安全性に関する配慮を、設計に十分に組み込めていないものと認識しております。その点十分にご配慮の上、不安に思うところがあれば適宜自身で調べながら、自己責任で本サイトの情報を活用くださいますようお願いいたします。
本サイトの設計データを再配布する場合は、ご一報くださるようお願いいたします。
まとめ
今回は、長い間ゆるゆると開発を続けていた自作ドローンのデータを公開しました。最近盛り上がってる自作ドローン界隈の発展に、少しでも貢献できたらうれしいです。
設計をご覧いただいてなにか気になる点等あったら、コメントいただけるとありがたいです。
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