自作ドローンの記事をこれまでいくつか書いてきましたが、交通整理をするための記事を書いておきます。この記事を読めば、どの情報がどこにあるかというのがわかるかと思います。一応ココに、今までのドローン関連の記事をすべてまとめています。
私のドローンは、基板を kicad、フレームを freecad で設計し、esp32 をマイコンとして積んでいます。飛行動画 + 設計画面の動画は以下です。
実際にはまだまだやりたいことはいっぱいありますが、一旦開発を打ち切ろうと思います。
私自身ドローン製作をしはじめた頃に、以下の記事と本に非常にお世話になりました。
【完全自作】Arduinoを使用した自作ドローンの製作記(飛んだ!)
同じように、これからドローン自作をしたい人に参照される記事になったらいいな、という気持ちでこの記事を綴っています。
概要・開発タイムテーブル
僕が自作ドローンを製作し始めたのは2020年の6月で、ちょうどコロナでおうち時間が長くなったタイミングでした。実際にドローンを飛ばすまでには結構な時間がかかり、開発期間は合計すると一年強となります。
開発のタイムテーブルを記載すると以下のようになります。
時期 | やったこと |
20年6月 | ソフトウェア設計・ブレッドボードでお試し |
20年7月 | FreeCAD の勉強 機構設計 & DMM.make に 3D プリント依頼 |
20年8月 | 回路制作 + テストフライト |
20年9月 | 8月に飛ばなかったため、電子部品を再選定 |
20年10月 | モータ・プロペラの選定 KiCad の勉強 送信機基板を pcbgogo に製作依頼 |
20年11月 20年12月 | さぼり (ROS・競プロなど別のことをやってた) |
21年1月 | フライトコントローラの部品選定 |
21年2月 | リポバッテリの危険性について理解・選定 |
21年3月 | フライトコントローラを KiCad で設計 pcbgogo に部品実装基板の製作依頼 |
21年4月 21年5月 | 転職の引き継ぎ・家さがし等でバタバタ 転職先で使う知識の勉強 |
21年6月 | ソフトウェアのリファクタリング |
21年7月 21年8月 | 制御系再設計・ローパスフィルタ等の実装 |
21年9月 | PV・まとめ記事制作 開発を一旦打ち切り |
転職をしたり、競プロをしたりとドローン開発のみに時間をかけていたわけではないですが、僕のように基板設計や機構設計についてほとんど知識がない状態からドローンを作りはじめる場合、一年くらいはかかるんじゃないかなというのが僕の感想です。
制作費
ドローンの製作にいくらかかったか、自作しようとしている人にとって結構気になるポイントですよね。僕は予備でいくつかパーツを買ったり、フレームを再発注したりして余計にお金がかかりましたが、もし仮に予備パーツ購入代や失敗がなかったと仮定すると、以下の値段になります。
パーツ | 発注先 | 金額 |
フレーム メインパーツ | DMM.make | 3,280円 |
フレーム サブパーツ | DMM.make | 2,559円 |
送信機 PCB | PCBGOGO | 4,950円 ($45.00) |
フライトコントローラ PCB | PCBGOGO | 16,940円 ($154.00) |
部品代 | amazon 秋月電子等 | 22,405円 |
合計、50,134円となりました。
部品代の内訳に関しての詳細は、こちらの記事の「別途購入が必要な部品リスト」をご覧ください。どのような部品を購入してドローンを組み上げたかを紹介しています。
失敗と原因分析
ドローン製作を開始してから3ヶ月ほどで一応テストフライト(?)を試みてみました。動画は以下です。
リポバッテリではなく単三乾電池を使ってドローンを飛ばそうとしていたのと、非常に長い配線を使っていたため配線の電気抵抗で大きな電圧降下が発生していたというのが、ドローンが飛ばない原因でした。(当時は乾電池でもドローン浮くんじゃないかと思ってました。)
これを機に、立ち止まってちゃんと原因分析をしたり、ドローン自作をしている人達の記事を調査したりする必要があると思い至り、以下の記事を執筆しました。
ソフトウェア・制御系設計
ソフトウェア設計と制御系設計に関しては、以下の二つの記事が参考になるかと思います。
PID ゲインやトリムの調整があまりよくないと、ふらついてしまったり一方向に飛んでいってしまったりしたので調整に苦労しました。
機構設計
ドローンのフレームは FreeCAD で設計しました。
- FreeCADでドローンを設計する:ベース・アーム・プロペラガード
- DMM.makeにドローンの3Dプリントを依頼する
- FreeCADのFEM解析によるドローンの設計見直し
- FreeCADによるドローン設計(2回目:小型化・モータ固定・アセンブリ・推定質量の計算)
はじめに設計したドローンのフレームは軽量化のために薄く設計しすぎて、ふにゃふにゃになってしまったため、FEM 解析で問題ない厚みを計算してから再設計しました。
モータを固定するためにブラケットを機体と分けて設計し、ネジ止めするようにしました。また、重量や素材に関する考察も行っています。
電気回路設計
PCB の設計は KiCad で行いました。もともとユニバーサル基板にはんだ付けしていましたが、配線がぐちゃぐちゃになってしまったため、PCB に切り替えました。回路設計は今回のドローン自作で最も苦労したポイントの一つです。
- ユニバーサル基板でドローン用電気回路製作
- フライトコントローラをPCBで製作するための準備:抵抗・コンデンサ・ダイオードの役割を改めて考察する
- Kicadでドローン用PCBを設計する:送信機編
- ドローンのFC電気回路作成用メモ
- ドローンFCのPCBをKicadで設計して,PCBgogoに発注する
基板を自分で作る経験はこれまでほとんどなかったので、ゲート抵抗・バイパスコンデンサ・フリーホイーリングダイオード等の役割について調べながら設計していきました。
PCB 設計に関してももちろん初めてだったので、「電源周りは太い線でつなぐ」、「配線はパッドに対して垂直に入るようにする」などといったポイントを勉強しながら設計を進めていきました。また、シンボルやフットプリントの作成や電子部品の選定・BOM ファイルの作成に苦労しました。
ここまでの記事が、ドローンを自作する上でダイレクトに参考になりそうだなという記事です。ここから先で紹介する記事は、必要だと思ったときに参照してくれればいいかなといったレベルの記事です。
使用部品に関する調査 & 動作確認
使用する部品について調査した記事は以下です。esp32 や IMU の動作確認をした記事などです。
- arduinoでBMX055センサを動かし,加速度・角速度・姿勢を計測する
- esp32同士でシリアル無線通信をして,無線Lチカ・光量制御をしてみる(Arduino IDE使用)
- esp32でドローン用モータを回すための,MOSFETトランジスタの選定
- ドローン用のMOSFET選定(2回目) + 世の中のドローンのスペックまとめ
- 1sリポバッテリに関する考察 – 危険性・充電 / 保管方法・選定等
その他開発準備・実験
上記のカテゴリのいずれにも分類しにくい、開発環境構築や実験等は以下の記事になります。
- VSCodeにArduino IDEのプラグインを導入し,esp32に書き込む
- 姿勢計測 + PID制御で光量調節(ドローン製作準備,esp32,Arduino IDE)
- ドローンの推力測定まとめ:8x20mmモータ, evolta & 安定化電源
感想・まとめ・今後やりたいこと
この記事を見て、自作ドローン開発の闇にハマってくれる方がいたらうれしいです。Twitter 上で知り合った方々や友人・同僚にたくさんのアドバイスをいただいて、一応ドローンを形にすることができました。この場を借りて御礼申し上げます。
最後に将来の展望として、今後やりたいことを書いておきます。
- ゲインやトリムを GUI で調節
- モデリング・システム同定
- シミュレーション作る(3D アニメーションも)
- PID だけでなく、いろんな制御器を試す
- 回路設計・機体設計変更
- 特殊機体
- ちゃんと組み込み(脱 arduino) して制御周期を速く正確にする
- 位置制御(オプティカルフローセンサ or Depth Camera)
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