電気容量の異なるevoltaと安定化電源を使って,推力測定をした結果をまとめます.
後半では,他の方が挙げている参考動画や参考サイトを紹介します.
推力測定準備
以下が,推力を測定するための装置です.本当は推力計を使って計測すべきなんでしょうが,結構高い(16,000円くらいした)ので,はかりを使った簡易的な装置を作って推力を測定します.そのため,測定誤差は結構あるかもしれません.
ドローンの脚にスペーサーをいくつか取り付けて脚を長くし,一番下に基板をネジ止めしています.さらに,その上に236gの文鎮を置いておさえています.ドローンの重量も合わせると,300g弱の重さになります.4つのブラシモータで300gf以上の推力が出ることは無いので,これで推力テスト中に機体が浮いてしまうことはありません.
evolta or 安定化電源から直接モータに電流を供給できるようにしています.
evoltaを電源とした推力測定の結果
結果としては,以下の表のようになりました.
evolta 1950mAh | evolta 2550mAh | |
プロペラ直径60mm | 42gf | 48gf |
プロペラ直径77mm | 41gf | 52gf |
以下が,推力測定をしているときの動画です.
evolta 1950mAh, プロペラ直径60mm, 42gf
evolta 1950mAh, プロペラ直径77mm, 41gf
evolta 2550mAh, プロペラ直径60mm, 48gf
evolta 2550mAh, プロペラ直径77mm, 52gf
この結果からすると,推力に関しては,プロペラの大きさよりも電池の放電容量の方が支配的なファクターのようですね.
ただ,上記の結果からすると,evoltaでは少なくとも推力が足りないように思います.安定してドローンを飛行させるためには,機体重量の1.5倍〜2倍程度の推力が必要だそうなので…
今回の場合だと,バッテリも合わせて最大80g / 最小65g程度のドローンになることを見込んでいるので,最大160gf / 最小97.5gfの推力はほしいところです.一つのモータで考えると,最大40gf / 最小約24.5gfですね.
2550mAh/直径77mmのプロペラで推力テストしたときに,1つのモータに流れている電流をテスターで測ったところ,730mAとなりました.もう少し電流を流したいです.
安定化電源を使った推力測定の結果
今回は,この安定化電源を使いました.最大10Aまでの電流が流せるということで,この安定化電源を選定しました.1つのモータに最大2.5Aの電流を流せることとなります.
推力測定の結果は以下のようになりました.
4.0V | 4.2V | 4.5V | 4.1V, 1つのプロペラ | |
プロペラ直径60mm | – | – | 8.2A, 62gf | |
プロペラ直径77mm | 7.45A, 55gf | 8.2A, 62gf | 9.0A, 69gf | 2.8A, 21gf |
1つのモータで最大でも21gfしか出ていないので,少し出力が足りないような気がします…8.5 x 20mmのモータを試してみる必要があるかもしれません.
以下が,実験の動画になります.
安定化電源, 4.0V, プロペラ直径77mm, 7.45A, 55gf
安定化電源, 4.2V, プロペラ直径77mm, 8.2A, 62gf
安定化電源, 4.5V, プロペラ直径77mm, 9.0A, 69gf
安定化電源, 4.5V, プロペラ直径60mm, 8.0A, 62gf
安定化電源, 4.1V, プロペラ直径77mm x 1, 2.8A, 21gf
参考動画・参考サイト
muteFPV さん
この動画は,クアッドロータを使って実際の環境を模擬している試験で,テストの方法や「プロペラ・バッテリを変えるとどれくらい出力に差が出るのか」を知る上で非常に参考になります.
以下のことに気をつけてテストをしているようでした.
- 重量計で推力を測定する.
- テスト用ドローンは重量計から高さ方向に離して推力テストを実施する.(地面から離れたところでホバリングする実際の飛行環境を模擬するため.)
- バッテリーをテスト試行ごとにフルチャージにする.
- テストごとにモータをクールダウンする.
- 複数回試行して,平均の計測値を使用する.
このテストによると,「リポバッテリ + 8520ブラシモータ1つ + 60mmのプロペラ」で,33〜36gf程度の出力が出るようで少し安心しました.
気になったのは,300mAh/45-90Cのバッテリの方が600mAh/25Cのバッテリよりも出力が出ているという点でした.放電容量だけではなく,放電時のCレートも考慮しないとバッテリの性能はわからないみたいですね.バッテリについては詳しく別の記事でまとめたいと思っています.
muteFPVさんは,以下の動画で,8520モータ(8.5 x 20mmのモータ)と820モータ(8 x 20mmのモータ)の比較も行ってくれています.
特に動画の3:42あたりで詳しく言及されていますが,8520モータと820モータでは1つのモータにつき,5gf程度の出力推力の差があるみたいです.4つのモータだと20gfの違いになるので,この違いは大きそうです.
RCGroups.com さん
以下のサイトでは,プロペラやモータを変えて推力テストを行っており,さらにその際に流れている電流値も測っています.1つのモータを回したときのテストを行っています.(4つ同時に回しているわけではなさそうです.)
気になったのは以下の結果でした.
- 6 x 15mmのモータでは,最大15gf程度の推力が出る.
- 8.5 x 20mmのモータでは,最大35gf程度の推力が出る.
https://www.rcgroups.com/forums/showthread.php?2009496-1s-micro-mini-brushed-quadcopter-specifications-and-performance-data
ちなみにここに,8 x 20mmのモータでの推力テスト結果も載せられているので合わせて紹介しておきます.
0820 W/White Dot: 3.35V ~2.5A 33.0g
https://www.rcgroups.com/forums/showpost.php?p=27195064&postcount=490
0820 W/o White Dot: 3.4V ~2.5A 36.0g
Tech Ideas さん
7 x 16mmブラシモータ・3.7V 350mAh リポバッテリ・45mmプロペラで16gfの推力が出ているようです.
Luke さん
55mm, 60mm, 66mmの直径のプロペラと3.7V 1S リポバッテリ・8520モータを使ってテストしています.テストは1つのモータとプロペラを用いて行っています.
どのサイズのプロペラを使っても,30gf以上の出力は出ています.詳しくは動画を確認してみてください.
モータ・プロペラに関する補足情報 [2021/2/13 追記]
自作ドローンの設計に関して,すごくわかりやすく説明してくれているサイトがありますが,このサイトで以下のようなことが言われていました.
Both them were 8.5mm x 20mm in size also known as configuration 8520. The MMW set was not cheap (~£25), however the motors are supposed to be a lot faster and have more thrust than the Hubsan ones
https://www.instructables.com/id/Arduino-micro-Quadcopter/
同じサイズのモータでもメーカーによってかなり性能が異なるようです.
モータ・プロペラの推力-電流特性はこのサイトで紹介されています.ドローンを安定して飛行させるためには,ドローンの重さを最大推力の1/2程度にしておくことが重要そうです.
For our quadcopter to fly nicely there is a rule of thumb that 50 % of the max thrust of motors should be equal to the weight of the quadcopter itself.
https://www.instructables.com/id/Arduino-micro-Quadcopter/
また,プロペラは羽が鋭角の方が推力が出るそうです.
まとめ
私のセットアップだと,最大でも21gf程度の推力しか出なそうでした.先人たちを参考にすると,モータを8 x 20mmから8.5 x 20mmのものに変えることで推力アップが期待できると思いました.プロペラの種類もさることながら,モータのスペックも重要そうです.また,同じサイズのモータでも出力に差があるかもしれないので,どのメーカーのモータを使うかというのも精査が必要かもしれません.
ただ,今回の私の計測は,以下の理由から測定結果が正確かどうかは少しあやしいなと思っています.もう少し正確に計測したくなったら改めて記事を書こうと思います.
- ドローンが地面からあまり離れていない.
- 推力計を用いた計測をしていない.
- リポバッテリを使っていない.
- フライトコントローラを積んでいない.(電源からモータに直に電流を流している.)
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